絶対値記号を含む不等式
本記事と合わせてこちらの記事も参考にしてください。shibiremath.hatenablog.com
例題1
次の についての不等式を解いてください。
「絶対値」とは何だったか考えてみましょう。
ある数 の絶対値とは
数直線上における に対応する点と原点との距離です。
言い換えると,ある数 の大きさと言ってもよいでしょう。
すなわち件の不等式 は
という数の大きさは, 以下である
という主張ととらえることができます。
そのような数 は数直線上のどの位置にあるでしょうか?
絶対値が 以下の数は,次の数直線の赤い部分にあります。
また赤い部分にある数は何であっても,その大きさは 以下です。
したがって, であり
各辺から を引けば となります。
例題1の解答
では,こちらの不等式も,同様に考えてみてください。
例題2
次の についての不等式を解いてください。
例題1のように考えると,例題2の不等式 は
という数の絶対値は を超える
という主張ととらえることができます。
絶対値が を超える数は,次の数直線の赤い部分にあります。
ただし,数直線は画面に描ききれないだけで,本当は左右にいくらでも伸びていて
より左側にあるすべての数, より右側にあるすべての数は
絶対値が を超える数であることに注意してください。
したがって, または がいえます。
において両辺に を加えて
において両辺に を加えて となるので
不等式の解は または となります。
例題2の解答
または
では,次のような問題だとどうでしょう。
例題3
次の についての不等式を解いてください。
の絶対値は 以上である…というのはわかりづらいですね。
例題1,2のように右辺が定数ならよかったのですが,そうではないので
ここは絶対値の定義に従って,場合分けするのが良いです。
絶対値の数式による定義は,他のページでも記載しましたが次の通りでした。
(問題中の との混同を避けるため,文字を に変えています)
絶対値の定義
実数 の絶対値 は,次のように定義されます。
\begin{align}|a| =
\begin{cases}
a & (a \geqq 0) \cr
-a & (a \lt 0)
\end{cases}
\end{align}
とういことで,処理していきましょう。
(ケース1) のとき (つまり のとき)
\begin{align}
x+3 &\geqq 2x-1\\
-x &\geqq -4\\
x &\leqq 4
\end{align}
との共通範囲を求めて
(ケース2) のとき (つまり のとき)
\begin{align}
-(x+3) &\geqq 2x-1\\
-x-3 &\geqq 2x-1\\
-3x &\geqq 2\\
x &\leqq -\frac{2}{3}
\end{align}
との共通範囲を求めて
(ケース1) ,(ケース2)の解をまとめて となります。
それぞれの場合分けの最後の行のように
場合分けの前提条件を考慮した解を出すことを
間違っても忘れないようにしましょう。
例題3の解答