ぬうがくブログ

数学っぽいことを気になったときに気になったように書き綴ります。たまに別の趣味と混ざります。

絶対値

絶対値

実数 a について,数直線上における原点から a に対応する点までの距離を絶対値といいます。
a の絶対値を,記号を用いて |a| と表記します。 
 
たとえば数直線上において,5-5を表す点は次のように位置します。

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50より5だけ大きい数ですし,-50より5だけ小さい数ですから
0から5までの距離と,0から-5までの距離は等しく,その値は5です。
記号で書けば
|5| = 5 (5の絶対値は5)
|-5| = 5 (-5の絶対値は5)
ということです。

f:id:shibiremath:20210415013315p:plain他にも例を挙げましょう。たとえば

|10| = 10
|-2.5| = 2.5
|-\sqrt{3}| = \sqrt{3}
です。

原点からの「距離」について考えたいので
符号を無視して(常に正の数になるように)考えます。
正の数の絶対値はその数自身
負の数の絶対値はその数に -1 をかけたものになります。
0 の絶対値は 0 です。

それでは,次の問題に答えてみてください。
 

例題1

次の値を絶対値の記号を使わずに表記してください。たとえば |-5|5 と表記してください。

(1) |3|

(2) \left|-\displaystyle\frac{1}{2}\right|

(3) |\pi|

(4) |2-3|

(5) |2-\pi|

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例題1の解答

(1) |3| = 3

(2) \left|-\displaystyle\frac{1}{2}\right| = \displaystyle\frac{1}{2}

(3) |\pi| = \pi

(4) |2-3| = |-1| = 1

(5) |2-\pi| = \pi-2

 

例題1 (5)の解説

2-\pi がどのような数か考えてみましょう。

まず \pi とは円周率で,その値は 3.14\cdots
無限に続く小数であることが知られています。
そこで,"仮に" \pi = 3.14 として考えてみましょう。

すると, 2-\pi = 2-3.14 = -1.14 となるため,その絶対値は1.14です。
この1.14という値は,言い換えれば 3.14-2 の値です。

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3.14\pi にもどして考えましょう。

\pi \gt 2 なので,2-\pi は負の数です。
負の数の絶対値は,その数に -1 をかけたものになりますから
2-\pi の絶対値は \pi-2 です。
式で書けば
|2-\pi| = -(2-\pi) = \pi-2
というわけです。

一般に |x-\alpha| は「数直線上における x\alpha に対応する2点間の距離」です。

最後に,絶対値の数式による定義を提示して終わりにします。

絶対値の定義

実数 x の絶対値 |x| は,次のように定義されます。

\begin{align}
|x| =
\begin{cases}
x & (x \geqq 0) \cr
-x & (x \lt 0)
\end{cases}
\end{align}

これを言葉で言えば,
0 以上の数の絶対値はその数自身
0 未満(つまり負)の数の絶対値はその数に -1 をかけたもの
となります。