絶対値
絶対値
実数 について,数直線上における原点から に対応する点までの距離を絶対値といいます。の絶対値を,記号を用いて と表記します。
たとえば数直線上において,とを表す点は次のように位置します。
はよりだけ大きい数ですし,はよりだけ小さい数ですから
からまでの距離と,からまでの距離は等しく,その値はです。
記号で書けば
(の絶対値は)
(の絶対値は)
ということです。
他にも例を挙げましょう。たとえば
です。
原点からの「距離」について考えたいので
符号を無視して(常に正の数になるように)考えます。
正の数の絶対値はその数自身
負の数の絶対値はその数に をかけたものになります。
の絶対値は です。
それでは,次の問題に答えてみてください。
例題1
次の値を絶対値の記号を使わずに表記してください。たとえば は と表記してください。
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
例題1の解答
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
例題1 (5)の解説
がどのような数か考えてみましょう。
まず とは円周率で,その値は と
無限に続く小数であることが知られています。
そこで,"仮に" として考えてみましょう。
すると, となるため,その絶対値はです。
このという値は,言い換えれば の値です。
を にもどして考えましょう。
なので, は負の数です。
負の数の絶対値は,その数に をかけたものになりますから
の絶対値は です。
式で書けば
というわけです。
一般に は「数直線上における と に対応する2点間の距離」です。
最後に,絶対値の数式による定義を提示して終わりにします。
絶対値の定義
実数 の絶対値 は,次のように定義されます。
\begin{align}|x| =
\begin{cases}
x & (x \geqq 0) \cr
-x & (x \lt 0)
\end{cases}
\end{align}
これを言葉で言えば,
以上の数の絶対値はその数自身
未満(つまり負)の数の絶対値はその数に をかけたもの
となります。