同じものを含む順列の考え方
本記事を読む前に,こちらの記事もぜひ参考にしてください。
例題1
の つの数字を並べてできる 桁の整数は何通りありますか。
これは,わざわざ紙に書かなくてもできるくらい簡単ですね。
例題1の解答
の 通りです。
では,こうするとどうでしょう。
例題2
の つの数字を並べてできる 桁の整数は何通りありますか。
お手元に紙など用意して考えてみてください。
例題2の解答
次の 通りです。
1233 | 1323 | 3123 | 1332 | 3132 | 3312 |
2133 | 2313 | 3213 | 2331 | 3231 | 3321 |
例題2についてもう少し細かく考えてみましょう。
同じものを含む順列は,そうでないときに比べて
総数は少ないのにかえってややこしくなることがあります。
しかし,すべて異なるものの順列の考え方をもとに考えることで
同じものを含む順列を考えることができます。
そのために,次の問題を考えます。
例題3
の つの数字を並べてできる 桁の整数は何通りありますか。
簡単な計算でできるのですが,ここではあえてすべての場合を書き出してみましょう。
例題3の解答
次の 通りです。
1234 | 1324 | 3124 | 1342 | 3142 | 3412 |
1243 | 1423 | 4123 | 1432 | 4132 | 4312 |
2134 | 2314 | 3214 | 2341 | 3241 | 3421 |
2143 | 2413 | 4213 | 2431 | 4231 | 4321 |
ところで今後の説明のために,解答の表はある規則に従って並べているので
皆さんが書いた順番と違っていて見づらいかもしれません。悪しからず。
さて,例題2では の つの 数字による順列を
例題3では の つの数字による順列を考えました。
例題3をもとに例題2を考えるには・・・
たとえば,例題3において「」をすべて「」に置き換えてみましょう!
例題3の解答の表の,「」をすべて「」に置き換えると
表は次のようになります。
1234 | 1324 | 3124 | 1342 | 3142 | 3412 |
1243 | 1423 | 4123 | 1432 | 4132 | 4312 |
2134 | 2314 | 3214 | 2341 | 3241 | 3421 |
2143 | 2413 | 4213 | 2431 | 4231 | 4321 |
↓「」をすべて「」に置き換える↓
1233 | 1323 | 3123 | 1332 | 3132 | 3312 |
1233 | 1323 | 3123 | 1332 | 3132 | 3312 |
2133 | 2313 | 3213 | 2331 | 3231 | 3321 |
2133 | 2313 | 3213 | 2331 | 3231 | 3321 |
この操作によって,例えば と はどちらも に置き換わりました。
そして,例題2の表と見比べてみてください。
1233 | 1323 | 3123 | 1332 | 3132 | 3312 |
2133 | 2313 | 3213 | 2331 | 3231 | 3321 |
どうでしょうか。
例題2の表にある 通りの数のすべてが,
置き換えた後の例題3の表に,ちょうど つずつ現れています。
例題3において,例えば と のように
と が入れ替わっただけの関係にある数が置き換える操作によって
同じ という数に対応する,つまり 対 に対応するのです。
したがって, の つの数でつくる順列の総数は
の つの数で作る順列の総数の半分になります。
よって例題2について と求めることができます。
では,次の問題を考えてみてください。
例題4
の つの数字を並べてできる 桁の整数は何通りありますか。
先の例題2の考え方でやってみましょう。
まず, の つの数字を並べてできる 桁の整数は
(通り) あります。
そのうちの一つ,たとえば において「」と「」を 「」 に置き換えると
という整数になります。
しかし,同様の操作で になる整数は他にもあり,具体的には
の つがそうです。
いま挙げた例のように, の位置が入れ替わっただけの関係にある つが
ある一つの整数に対応,つまり 対 に対応します。
なお,この という数は,まさに つの異なるものでつくる順列の総数ですね。
そういうわけで,例題4の解答は
(通り) となります。
例題4の解答
で 通りです。
次で最後の問題です。
例題5
の つの数字を並べてできる 桁の整数は何通りありますか。
ぜひとも,スクロールをいったん止めて考えてみてください。
それでは,例題5の解説です。
まず, の つの数字を並べてできる 桁の整数は
(通り) あります。
ここで,「」を「」に置き換える操作をして
の つの数字を並べてできる整数を考えてみると
たとえば と の二つが同じ に対応することから
そのような整数は (通り) あるとわかります。
さらにここから「」と「」を「」に置き換える操作をすると
先の 通りのうち
の つはすべて という整数になります。
このように つの整数が つの整数に対応し
他の整数についても同様に考えられるので
例題5の解答は
(通り) となります。
例題5の解答
で 通りです。
ちなみに,次のような考え方をすることもできます。
例題5の別解
まず, の つの数字を並べてできる整数は
当然ながら の (通り) しかありません。
ここで,この つの「」のうち つを「」に置き換えることを考えます。
一,十,百,千,万のそれぞれの位のうち
どの つの位の「」を「」に置き換えるかを考えると
その選び方は (通り) あります。
そして選んだ3か所の「」を「」に置き換えれば
目的の順列(整数)を得ることができます。
また,それらはどのように3か所の位を選んで置き換えても
同じ整数ができる(つまり,ダブる)ことはありません。
というわけで, 通りとなります。