ぬうがくブログ

数学っぽいことを気になったときに気になったように書き綴ります。たまに別の趣味と混ざります。

同じものを含む順列の考え方

本記事を読む前に,こちらの記事もぜひ参考にしてください。

shibiremath.hatenablog.com

shibiremath.hatenablog.com

shibiremath.hatenablog.com

 


 

 

例題1

1,2,2,24 つの数字を並べてできる 4 桁の整数は何通りありますか。

 

これは,わざわざ紙に書かなくてもできるくらい簡単ですね。

 

例題1の解答

1222,2122,2212,22214 通りです。

 

では,こうするとどうでしょう。

 

例題2

1,2,3,34 つの数字を並べてできる 4 桁の整数は何通りありますか。

 

お手元に紙など用意して考えてみてください。

 

 

例題2の解答

次の 12 通りです。

1233 1323 3123 1332 3132 3312
2133 2313 3213 2331 3231 3321

 

例題2についてもう少し細かく考えてみましょう。
同じものを含む順列は,そうでないときに比べて
総数は少ないのにかえってややこしくなることがあります。

しかし,すべて異なるものの順列の考え方をもとに考えることで
同じものを含む順列を考えることができます。

そのために,次の問題を考えます。

 

例題3

1,2,3,44 つの数字を並べてできる 4 桁の整数は何通りありますか。

 

簡単な計算でできるのですが,ここではあえてすべての場合を書き出してみましょう。

 

例題3の解答

次の 24 通りです。

1234 1324 3124 1342 3142 3412
1243 1423 4123 1432 4132 4312
2134 2314 3214 2341 3241 3421
2143 2413 4213 2431 4231 4321

 

ところで今後の説明のために,解答の表はある規則に従って並べているので
皆さんが書いた順番と違っていて見づらいかもしれません。悪しからず。

さて,例題2では 1,2,3,34 つの 数字による順列を
例題3では 1,2,3,44 つの数字による順列を考えました。
例題3をもとに例題2を考えるには・・・
たとえば,例題3において「4」をすべて「3」に置き換えてみましょう!

例題3の解答の表の,「4」をすべて「3」に置き換えると
表は次のようになります。

1234 1324 3124 1342 3142 3412
1243 1423 4123 1432 4132 4312
2134 2314 3214 2341 3241 3421
2143 2413 4213 2431 4231 4321

↓「4」をすべて「3」に置き換える↓

1233 1323 3123 1332 3132 3312
1233 1323 3123 1332 3132 3312
2133 2313 3213 2331 3231 3321
2133 2313 3213 2331 3231 3321

この操作によって,例えば 12341243 はどちらも 1233 に置き換わりました。
そして,例題2の表と見比べてみてください。

1233 1323 3123 1332 3132 3312
2133 2313 3213 2331 3231 3321

どうでしょうか。
例題2の表にある 12 通りの数のすべてが,
置き換えた後の例題3の表に,ちょうど 2 つずつ現れています。

例題3において,例えば 12341243 のように
34 が入れ替わっただけの関係にある数が置き換える操作によって
同じ 1233 という数に対応する,つまり 21 に対応するのです。

したがって,1,2,3,34 つの数でつくる順列の総数は
1,2,3,44 つの数で作る順列の総数の半分になります。

よって例題2について 4! \div 2 = 12 と求めることができます。

 

では,次の問題を考えてみてください。

 

例題4

1,2,3,3,35 つの数字を並べてできる 5 桁の整数は何通りありますか。

 

 

先の例題2の考え方でやってみましょう。

まず,1,2,3,4,55 つの数字を並べてできる 5 桁の整数は
5!=120 (通り) あります。

そのうちの一つ,たとえば 54321 において「4」と「5」を 「3」 に置き換えると
33321 という整数になります。
しかし,同様の操作で 33321 になる整数は他にもあり,具体的には
54321 \\53421 \\45321 \\43521 \\34521 \\35421
6 つがそうです。
いま挙げた例のように,3,4,5 の位置が入れ替わっただけの関係にある 6 つが
ある一つの整数に対応,つまり 61 に対応します。
なお,この 6 という数は,まさに 3 つの異なるものでつくる順列の総数ですね。

そういうわけで,例題4の解答は
5! \div 3! = 20 (通り) となります。

例題4の解答

5! \div 3! = 2020 通りです。

 

次で最後の問題です。

 

例題5

1,1,2,2,25 つの数字を並べてできる 5 桁の整数は何通りありますか。

 

 

 

 

 

ぜひとも,スクロールをいったん止めて考えてみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

それでは,例題5の解説です。

まず,1,2,3,4,55 つの数字を並べてできる 5 桁の整数は
5!=120 (通り) あります。

ここで,「3」を「1」に置き換える操作をして
1,1,2,4,55 つの数字を並べてできる整数を考えてみると
たとえば 1324531245 の二つが同じ 11245 に対応することから
そのような整数は 5! \div 2 = 60 (通り) あるとわかります。

さらにここから「4」と「5」を「2」に置き換える操作をすると
先の 60 通りのうち
11245 \\11254 \\11425 \\11452 \\11524 \\11542
6 つはすべて 11222 という整数になります。
このように 6 つの整数が 1 つの整数に対応し
他の整数についても同様に考えられるので
例題5の解答は
5! \div 2 \div 3!=10 (通り) となります。

 

 

例題5の解答

5! \div 2 \div 3!=1010 通りです。

 

 

ちなみに,次のような考え方をすることもできます。

 

 

例題5の別解

まず,1,1,1,1,15 つの数字を並べてできる整数は
当然ながら 111111 (通り) しかありません。

ここで,この 5 つの「1」のうち 3 つを「2」に置き換えることを考えます。
一,十,百,千,万のそれぞれの位のうち
どの 3 つの位の「1」を「2」に置き換えるかを考えると
その選び方は {}_5\mathrm{C}_3 = 10 (通り) あります。

そして選んだ3か所の「1」を「2」に置き換えれば
目的の順列(整数)を得ることができます。
また,それらはどのように3か所の位を選んで置き換えても
同じ整数ができる(つまり,ダブる)ことはありません。

というわけで, 10 通りとなります。