絶対値記号を含む方程式
本記事は,先にこちらの記事を読んでおくことをおすすめします。
例題1
次の についての方程式を解いてください。
「絶対値」が何を意味するのかを考えれば,すぐにわかります。
この式は, という数の絶対値は である,ととらえることができます。
そうすると, の値は か のいずれかです。
したがって, だとすれば ですし
また, だとすれば です。
例題1の解答
または
続けて,次の問題です。
例題2
次の についての方程式を解いてください。
一般に, といえば
数直線上における と に対応する2点の距離ですから
与えられた式について
\begin{align}
|x+3|&=|x-5|\\
|x-(-3)|&=|x-5|
\end{align}
と変形することによって,この等式は
「 と の距離」と「 と の距離」が等しい。
つまり, は と の双方からの距離が等しい値ととらえることができます。
ということは, は と のちょうど真ん中にある数ですから です。
これをもとの式に代入すれば
\begin{align}
|1+3|&=|1-5|\\
|4|&=|-4|\\
4&=4
\end{align}
となり,確かに は方程式の解とわかります。
例題2の解答
では,次のような問題ではどうでしょうか。
例題3
次の についての方程式を解いてください。
このような問題だと例題1,2のように意味を考えて解くのはやや難しいので
定義に従って処理するのが良いでしょう。
絶対値の定義から, 以上の数の絶対値はその数自身
負の数の絶対値はその数に をかけたものになるので
絶対値の記号で囲まれた数が, 以上かそうでないかで場合分けしましょう。
この場合, と のそれぞれについて
以上の値をとるか否かを考える必要があります。
よって,場合分けは多くて次の4通りになります。
ケース1 | かつ |
---|---|
ケース2 | かつ |
ケース3 | かつ |
ケース4 | かつ |
しかしながら, よりも のほうが大きいことはあり得ないので
ケース3は無くなり,場合分けは次の3通りで済みます。
ケース1 | かつ |
---|---|
ケース2 | かつ |
ケース* | かつ |
ケース3 | かつ |
いよいよ,それぞれの場合について考えていきましょう。
(ケース1) かつ のとき (つまり のとき)
, はいずれも 以上の数ですから,次のように変形すれば良いです。
\begin{align}
2x+|x+3|&=|x-5|\\
2x+x+3&=x-5\\
2x&=-8\\
x&=-4\\
\end{align}
となりますが, である前提ですから, は解として適しません。
実際, を代入してみると
\begin{align}
2\times(-4)+|-4+3|&=|-4-5|\\
-8+|-1|&=|-9|\\
-7&=9\\
\end{align}
となり,確かに は解ではありません。
よってこの場合は解なしとなります。
(ケース2) かつ のとき (つまり のとき)
\begin{align}
2x+|x+3|&=|x-5|\\
2x+x+3&=-(x-5)\\
4x&=2\\
x&=\frac{1}{2}\\
\end{align}
ですから, は方程式の解です。
代入して確かめてみると
\begin{align}
2\times\frac{1}{2}+\left|\frac{1}{2}+3\right|&=\left|\frac{1}{2}-5\right|\\
1+\left|\frac{7}{2}\right|&=\left|-\frac{9}{2}\right|\\
\frac{9}{2}&=\frac{9}{2}\\
\end{align}
となり,確かに成り立ちます。
(ケース3) かつ (つまり のとき)
\begin{align}
2x+|x+3|&=|x-5|\\
2x-(x+3)&=-(x-5)\\
2x-x-3&=-x+5\\
2x&=8\\
x&=4\\
\end{align}
となりますが, である前提ですから, は解として適しません。
実際, を代入してみると
\begin{align}
2\times 4+|4+3|&=|4-5|\\
8+|7|&=|-1|\\
15&=1\\
\end{align}
となり,確かに は方程式の解ではありません。
よってこの場合は解なしとなります。
以上(ケース1)~(ケース3)より
方程式の解は です。
例題3の解答