有理化
有理化とは
有理化
分母に根号(ルート)を含む分数式を,分母に根号を含まない形に変形する操作を(分母の)有理化といいます。
有理化の操作で使っている性質は
『分数の分母と分子に同じ数をかけてもその分数の値は変わらない』
というあたりまえの性質です。(例えば,)
ですから有理化でやることは,いわゆる通分(あるいは約分)です。
その過程で,自分の欲しい形が得られるように仕向けるのです。
レベル1
早速例を挙げましょう。
(例1)
が正の実数のとき, であることを利用しています。
(例2)
(例3)
操作の後で約分が発生することもあります。
(例4)
(例3)と同じ式ですが,約分が発生することを見越して
最初から約分の形で変形することもできます。
分母がルートを使わない形になりさえすればよいのです。
それでは,さっそく問題です。
例題1
次の各式の に当てはまる値を求めてください。
(1)
(2)
(3)
(4)
例題1の解答
次の各式の に当てはまる値を求めてください。
(1)
(2)
(3)
(4)
レベル2
(例5)
次の式を有理化してみましょう。
試しにこれまでと同じように,分母と同じ数を分母と分子にそれぞれかけてみると
このように分母にルートが残ってしまい,うまくいきません。
ここはあえて を分母と分子にかけてやります。そうすると
となり,有理化できました。
ここでは,式 を利用しています。
(例6)
\begin{align}
\frac{1}{1+\sqrt{2}+\sqrt{3}} &= \frac{1+\sqrt{2}-\sqrt{3}}{((1+\sqrt{2})+\sqrt{3})((1+\sqrt{2})-\sqrt{3})}\\
&= \frac{1+\sqrt{2}-\sqrt{3}}{(1+\sqrt{2})^2-(\sqrt{3})^2}\\
&= \frac{1+\sqrt{2}-\sqrt{3}}{1+2 \sqrt{2} + 2 -3}\\
&= \frac{1+\sqrt{2}-\sqrt{3}}{2 \sqrt{2}}\\
\\
&(ここで一呼吸)\\
\\
&= \frac{(1+\sqrt{2}-\sqrt{3}) \times \sqrt{2} }{2 \sqrt{2} \times \sqrt{2}}\\
&= \frac{\sqrt{2} (1+\sqrt{2}-\sqrt{3})}{4}
\end{align}
このように,2回操作をすれば有理化できます。
をひとつの数とみなして計算するのがポイントです。
例題2
次の各式を有理化してください。
(1)
(2)
例題2の解答
(1)
(2)
レベル3(高校生向け)
(例7)
は 乗しないと になりませんから
を分母と分子にそれぞれ2回かける必要があります。
(例8)
式 を利用しています。
例題3
次の各式を有理化してください。
(1)
(2)
例題3の解答
(1)
(2)
補足
有理化の操作は,指定されない限りは必ずしも必要な操作ではありません。
しかし問題によって答える形が指定されたり(有理化した形で答えなさい,など)
マーク試験では実質答えの形を指定されているので
その際には有理化が必要になります。