ぬうがくブログ

数学っぽいことを気になったときに気になったように書き綴ります。たまに別の趣味と混ざります。

特定の角の三角比(30°,45°,60°など)

本記事を読む前に,こちらの記事も合わせて読んでおくことをおすすめします。

shibiremath.hatenablog.com


  • はじめに
  • 45°の三角比
  • 30°,60°の三角比
  • 30°,45°,60°以外の三角比
  • おわりに

はじめに

三角比 \sin \theta , \cos \theta , \tan \theta について,角度によっては
比較的簡単な形でその値を求められるものがあります。
とくに,30^{\circ} , 45^{\circ} , 60^{\circ} の三角比は非常に有名で
これらを知っていることが前提で問題を出されることがほとんどです。

では早速考えてみましょう。まずは 45^{\circ} の三角比です。

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三角比(直角三角形による三角比の定義)

本記事では,直角三角形を利用した三角比の定義を解説します。

 

まず三角比を理解するには,図形の「相似」について知っていることが重要です。

 

図形の相似

二つの図形A,Bがあって,一方の図形を拡大または縮小してもう一方の図形と合同になるとき,AとBは相似であるといいます。

 

そして,相似な図形には,次の重要な性質があります。

 

相似な図形の性質

相似な図形について,対応する辺の長さの比は等しくなります。

 

次の図1を見てください。

図1

上の図1において \triangle ABC\triangle DEF は相似で,相似比は 1:a とします。
このときそれぞれの三角形で,斜辺と高さの比を調べると
\triangle ABC のほうは,\displaystyle\frac{高さ}{斜辺} = \frac{y}{z}

\triangle DEF のほうは,\displaystyle\frac{高さ}{斜辺} = \frac{ay}{az} = \frac{y}{z}
となり,この値は a の値によらず等しいことがわかります。

では直角三角形であるのはそのままに,\theta を変えるとどうなるでしょう。

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三角関数の合成をベクトルで考える

三角関数の合成」について自分なりに考えたことをまとめました。

 

次の公式は三角関数の合成と呼ばれ
特に高校数学において重要とされる公式の一つです。

三角関数の合成

a,b は実数とします。三角関数に関する次の式が成り立ちます。 
\begin{align}
a \sin \theta + b \cos \theta = \sqrt{a^2 + b^2} \sin (\theta + \alpha)
\end{align}
ただし \alpha\displaystyle\sin \alpha = \frac{b}{\sqrt{a^2 + b^2}},\cos \alpha = \frac{a}{\sqrt{a^2 + b^2}} を満たす角です。

 

\sin\cos1 次の和を \sin だけの式にできる点で嬉しい式だと思います。
ところでこの公式はしばしば次のような教え方(覚え方?)をされます。
具体的な数値を当てはめた例でもって紹介します。

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累乗と指数

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  • もっと知りたい方へ

 

レベル1

 

累乗と指数

 同じ数や文字を複数個掛け合わせる計算を,累乗といいます。an 個掛け合わせるとき,a^n と書き,an 乗(えーのえぬじょう) と読みます。
また,a^na にあたる数を底(てい),n にあたる数を 指数(しすう) といいます。

 

さっそく例を考えてみましょう。たとえば,次のとおりです。

(例1):2^5 = 2 \times 2 \times 2 \times 2 \times 2 = 32

(例2):(-3)^3=(-3)\times(-3)\times(-3)=-27

(例3):0.1^4=0.1 \times 0.1 \times 0.1 \times 0.1 = 0.0001

(例4):\left( \displaystyle\frac{2}{3}\right)^2=\displaystyle\frac{2}{3} \times  \displaystyle\frac{2}{3}= \displaystyle\frac{4}{9}

 

例題1

次の式を計算し,指数を使わずに表してください。たとえば,2^532 と答えてください。

(1) 5^4

(2) (-2)^3

(3) 1.1^3

(4) \left(\displaystyle\frac{3}{4}\right)^4

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"不等式を解く"とは?

この記事では,不等式を解くための具体的な操作については
とくに触れないものとします。
"不等式を解く"とはどういうことか
比較的簡単な例をもとに解説します。

 

不等式

たとえば x+6 \geqq 0 のように文字を含む不等式があるとき,その不等式が成り立つ文字の値をすべて求めることを,不等式を(その文字について)解く,といいます。
またその不等式を成り立たせる文字の値のことを,不等式のといいます。

 

さっそく例を考えてみましょう。

(例1):
x についての不等式 x+6 \geqq 0 は,x=3 のとき成り立ちます。
したがって,x=3 はこの不等式の解です。

しかし x+6 \geqq 0 の解は x=3 のみではありません。

具体的には x-6 以上の実数なら何でも成り立ちます。
反対に,それ以外の解はありません。
このとき,x+6 \geqq 0 の解は x \geqq -6 である,といえば
この不等式を解いたことになります。

 

(例2):
不等式 x \lt 2x はどのようなときに成り立つでしょうか。
右辺 2x は,左辺 x2 倍した値なので
x が正の数ならどんな値でも成り立ちます。

反対に,x0 以下の値では,成り立ちません
(成り立つものも成り立たないものもいろんな値を代入して,確かめてみてください)

したがって不等式 x \lt 2x の解は x \gt 0 です。

 

(例3):
不等式 x+3 \lt x+7x がどのような値でも成り立ちます。
したがって不等式 x+3 \lt x+7 の解はすべての実数です。
(同じ x3 を足したものと 7 を足したものなら
後者の方が大きいのは当然ですよね)

 

(例4):
不等式 x^2 \lt 0 は,x がどのような値でも成り立ちません。
なぜなら x が正の数でも負の数でも x^2 \gt 0 ですし
x=0 のときは x^2=0 で,0 \lt 0 は成り立ちません。

よって不等式 x^2 \lt 0 の解はありません。

 

例題1

次の x についての不等式をそれぞれ解いてください。
(難しい人は,x にいろいろな値を代入して考えるとよいです)

(1) x-5 \leqq 7

(2) 2x+1 \geqq 3

(3) 2x-3 \lt 2x+3

(4) (x+1)^2 \leqq 0

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"方程式を解く"とは?

  • はじめに
  • 等式について
  • 方程式について
  • 少し難しい?問題

 

はじめに

この記事では,方程式を解くための具体的な操作については
とくに触れないものとします。
等式と方程式とはどういったものかということについて
比較的簡単な例をもとに解説します。

 


等式について

 

等式

1+2=3 のように,等号『=』によって二つの式を結んだ式を,等式と言います。
=』は,その左側の式(左辺)と右側の式(右辺)が等しいことを意味します。

 

次は,正しい等式の例です。

(例1):1+2=5-2

(例2):\displaystyle\frac{5}{2} = 2.5

(例3):3^3=30-3=10+10+7

=』の両側が等しい限りはどんなにヘンテコな等式を作っても良いです。
(そのヘンテコな式に意味があるかどうかは,また別の話)

 

一方,次は間違った等式の例です。

(例4):1=2

(例5):1 \div 3 = 0.3

(例6):3 \times 3 = 9 \times 3 = 27

(例5)において,左辺 1 \div 30.3333 \cdots のようにいつまでも割り切れないのですが
だから 1 \div 3 \gt 0.3 であるため,(例5)の式は正しくないです。
(例6)は,一つめの等号が明らかに成り立ちません。何か書き間違えたのでしょう。

 

例題1

次の各式のうち,正しいものをすべて選んでください。

(1) 1+2+3=1 \times 2 \times 3

(2) 1+2+3+4=1 \times 2 \times 3 \times 4

(3) \pi = 3.14

(4) 2^3 = 3^2

(5) 2^4 = 4^2

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平方完成

 

  • 前提知識
  • レベル1
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  • 最終問題

 

 

前提知識

平方完成をスムーズに理解するには
(x+a)^2 の形の式の展開がよくできると良いです。
(x+a)^2 の展開の様子を丁寧に書けば
\begin{align}
(x+a)^2 &= (x+a)(x+a)\\
&= x(x+a) + a(x+a)\\
&= x^2 +xa +ax +a^2\\
&= x^2 +2ax +a^2
\end{align}
ですが,最初の (x+a)^2 の形を見て,最後の行がすぐにわかる程度だと良いです。
例えば,\left(x+\displaystyle\frac{1}{2} \right) ^2 を見て x^2 +x +\displaystyle\frac{1}{4} がすぐに思い浮かぶくらいです。

それがわかるようにするためには,式をよく観察しましょう。
最初と結果だけ書くと (x+a)^2 = x^2 +2ax + a^2 です。
右辺の第1項は x^2,第3項は a^2 で,それぞれ xa2 乗です。
第2項は xaax の和ですから 2ax (xa の積の 2 倍)です。

同じことを \left( x+\displaystyle\frac{1}{2} \right)^2 で考えてみると
第1項は x^2,第3項は \left( \displaystyle\frac{1}{2}\right)^2 = \displaystyle\frac{1}{4}
第2項は 2 \times x \times \displaystyle\frac{1}{2} = x ですから,結局
\left(x+\displaystyle\frac{1}{2} \right) ^2 = x^2 +x + \displaystyle\frac{1}{4} になる,という具合です。

というわけで,まずは式の展開の問題から始めます。

例題1

次の各式を展開してください。

(1) (x+3)^2

(2) (x-10)^2

(3) \left( a + \displaystyle\frac{2}{3} \right)^2

(4) \left( y - \displaystyle\frac{5}{4} \right)^2

(5) \left( x + \displaystyle\frac{5}{6} a \right)^2

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