特定の角の三角比(30°,45°,60°など)
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はじめに
三角比 について,角度によっては
比較的簡単な形でその値を求められるものがあります。
とくに, の三角比は非常に有名で
これらを知っていることが前提で問題を出されることがほとんどです。
では早速考えてみましょう。まずは の三角比です。
45°の三角比
次のような直角三角形 を考えます。
三角形の内角の和は ですから,これは二等辺三角形です。
等しい 辺(この図では )の長さを とおくと
三平方の定理より
\begin{align}
AB^2 &= AC^2 + BC^2\\
AB^2 &= 1^2 + 1^2\\
AB^2 &= 2\\
(AB & \gt 0 なので)\\
AB &= \sqrt{2}
\end{align}
となります。したがって
であることがわかります。
30°,60°の三角比
次は の三角比です。
下の図のような直角三角形 を考えます。
三角形の内角の性質から はすぐにわかりますが
のときほど簡単にはわかりません。
そこで次のように工夫してやりましょう。
三角形 と合同な三角形を,辺 を合わせるように描きます。
すると,上の図の三角形 は正三角形になります。
また三角形 と三角形 が合同である前提から
とわかります。
そこで とします。
三角形 において三平方の定理より
\begin{align}
AB^2 &= AC^2 + BC^2\\
2^2 &= 1^2 + BC^2\\
BC^2 &= 3\\
(BC & \gt 0 なので)\\
BC &= \sqrt{3}
\end{align}
となります。
したがって,
であることがわかります。
では, の三角比もすぐにわかりますね。
例題1
の値をそれぞれ求めてください。
例題1の解答
です。
さっき登場した の角を持つ直角三角形の向きを変えればすぐにわかります。
→向きを変える→
30°,45°,60°以外の三角比
ところで,三角比の値を具体的に求めることができるのは
のときだけなのでしょうか?
いいえ,そういうわけではありません。
これら以外にも比較的簡単な形で
三角比の値を求めることができる角度はあります。
例えば,次の問題はどうでしょう。
例題2
次の図を参考にして, の値を求めてください。
(もしも値を求める最中に二重根号(根号の中にまた根号がある表記)が現れたとき,処理の方法がわからなければとくに気にせずそのまま突き進んでください)
例題2の解答と解説
まず は の角を持つ直角三角形ですから
がすぐにわかります。
次に で, に着目すると
三角形の内角の和の性質から とわかります。
つまり は の二等辺三角形です。
したがって ですから とわかります。
ここで に注目すると
が求められました。
さて, について辺 以外の2辺は既にわかっていますから
三平方の定理から の長さを計算しましょう。
\begin{align}
AB^2 &= AD^2 + BD^2\\
AB^2 &= 1^2 + (2+\sqrt{3})^2\\
AB^2 &= 1+ 4 + 4\sqrt{3} + 3\\
AB^2 &= 8 + 4 \sqrt{3}\\
(AB & \gt 0 なので)\\
AB &= \sqrt{8+4 \sqrt{3}}
\end{align}
の値を求められましたが,二重根号になってしまいました。
今回の形なら二重根号は避けることができて
\begin{align}
AB &= \sqrt{8+4 \sqrt{3}}\\
&= \sqrt{8+2 \sqrt{12}}\\
&= \sqrt{(\sqrt{6} + \sqrt{2})^2}\\
&= \sqrt{6} + \sqrt{2}
\end{align}
となります。
そういうわけで,もう一度 に注目すれば
とわかります。
これで を全て求めることができました。
おわりに
上記のように,特定の角に対する三角比のうちいくらかは
図形を利用して求めることができます。
を何か特別なもののように見るのでなく
与えられた図からわかることを順々に書き出していけば良いのです。
ところで序盤にも言いましたが
の三角比の値は非常によく目にするので
これらが出てきたらすぐに言えるようにしておくと良いと思います。
ただし のように値だけ覚えるのでなく
次の図を覚えておいて,頭の中にイメージしたり紙に描いたりして
いつもそれをもとに考えるようにすると良いです。
これら二つの三角形は
実は一般に市販されている二種類の三角定規と同じ形(相似)ですから
かなり覚えやすいと思います。
このように,何かを覚えるときに
知っているものや見たことのあるものを使って覚えることは
非常に大事です。