三角比(直角三角形による三角比の定義)
本記事では,直角三角形を利用した三角比の定義を解説します。
まず三角比を理解するには,図形の「相似」について知っていることが重要です。
図形の相似
二つの図形A,Bがあって,一方の図形を拡大または縮小してもう一方の図形と合同になるとき,AとBは相似であるといいます。
そして,相似な図形には,次の重要な性質があります。
相似な図形の性質
相似な図形について,対応する辺の長さの比は等しくなります。
次の図1を見てください。
上の図1において と は相似で,相似比は とします。
このときそれぞれの三角形で,斜辺と高さの比を調べると
のほうは,
のほうは,
となり,この値は の値によらず等しいことがわかります。
では直角三角形であるのはそのままに, を変えるとどうなるでしょう。
次の図2を見てください。
図1より の値を大きくしました。
図2においても と は相似で,相似比は とします。
図1のときと同様に,それぞれの三角形で斜辺と高さの比を調べると
のほうは,
のほうは,
となり,今回もこの値は の値によらず等しいことがわかります。
ただし の値は図1と図2では異なります。
具体的には図2のもののほうがより大きく, に近い値になります。
このように, の値は角 にともなって変化し
また の値が決まれば一通りに決まります。
すなわち, は角 の関数であるといえます。
しかし,この関数はたとえば のような多項式の形では表すことができません。
そこでこの関数には特別な名前がついていて
それを (サイン) といいます。
は角 によって値が決まるので
普通は角とセットにして (サイン・シータ) と表記します。
たとえば のとき, と表記します。
(間違っても と の積ではない!)
さて,図1,図2において と同様に,
や も角 の関数とみることができます。
そして前者は (コサイン),後者は (タンジェント) と呼ばれます。
三角比(直角三角形による定義)
次の図のような の直角三角形 を考えます。
上の図において
とします。
(例1):次の直角三角形 において とすると
となります。
上記の定義を覚えたら,次の問題で確かめてみましょう。
例題1
それぞれの図において, の値を答えてください。
(1)
(2)
(3)
ヒント:(1),(2)のように直角が右下,注目する角()が左下になるように向きを変えてみる
例題1の解答
(1)
(2)
(3)