ぬうがくブログ

数学っぽいことを気になったときに気になったように書き綴ります。たまに別の趣味と混ざります。

突然の問題2 (関数の問題?)

またまた友人から突然問題を出題されたので解いてみました。

今回の問題は次のとおりです。

突然の問題2

関数 g(x)=\displaystyle\frac{2x+7}{x+8} について
f_1(x)=g(x) 
f_2(x)=g(g(x))
\cdots
f_n(x)=g(g(g( \cdots g(x) \cdots ))) のように gn入れ子にしたものを
f_n(x) と表記します。
このとき f_n(x)xn で表してください。
ただし f_0(x)=x とします。

 

なるほど,関数の問題ってことになるんでしょうか。
皆さんも考えてみてください。

 

 

 

 

 

 

 

今回は解答というよりは,自分が考えてノートに書いていったことを
改めて書いてみようと思います。
解答としてみると,削減できる部分やより洗練できる部分が残ると思います。

 

考えたこと

よくわからないので,ひとまずわかりそうなことから考えてみましょう。
とりあえず f_2(x),f_3(x) くらいなら簡単に求められそうです。
\begin{align}
f_2(x)=g(g(x))=g \left( \frac{2x+7}{x+8} \right) &=\frac{2\left( \frac{2x+7}{x+8} \right)+7}{\left( \frac{2x+7}{x+8} \right)+8}\\
&= \frac{2(2x+7)+7(x+8)}{2x+7+8(x+8)}\\
&= \frac{11x+70}{10x+71}\\
f_3(x)=g \left( \frac{11x+70}{10x+71} \right) &= \frac{2 \left( \frac{11x+70}{10x+71} \right) +7}{ \left( \frac{11x+70}{10x+71} \right) +8}\\
&= \frac{2(11x+70)+7(10x+71)}{11x+70+8(10x+71)}\\
&= \frac{92x+637}{91x+638}
\end{align}

f_n(x) について分母,分子はともに1次式になりそうですね。
また分子と分母の x の係数の差は 1
分子と分母の定数項の差は -1になるのでしょうか?

このままでは死んでも終わらないので,次のような手法を考えてみます。

次のような数列 \{ a_n \},\{ b_n \} を考えます。
\{a_n\}: f_n(x) の分子
\{b_n\}: f_n(x) の分母
(ただし f_n(x) を繁分数でない形にしたときのもの)

このようにおくことで f_n(x)
\begin{align}
&f_2(x)=g \left( \frac{a_1}{b_1} \right) = \frac{2a_1+7b_1}{a_1 +8b_1}=\frac{a_2}{b_2}\\
&f_3(x)=g \left( \frac{a_2}{b_2} \right) = \frac{2a_2+7b_2}{a_2 +8b_2}=\frac{a_3}{b_3}\\
&\cdots\\
&f_n(x)=g \left( \frac{a_{n-1}}{b_{n-1}} \right) = \frac{2a_{n-1}+7b_{n-1}}{a_{n-1} +8b_{n-1}}=\frac{a_n}{b_n}\\
\end{align}

と表記することができ,また \{ a_n \},\{ b_n \} は次の漸化式を満たすことがわかります。
\begin{align}
&\{a_n\}:a_n=2a_{n-1}+7b_{n-1},&a_1=2x+7\\
&\{b_n\}:b_n=a_{n-1}+8b_{n-1},&b_1=x+8\\
\end{align}

この \{ a_n \},\{ b_n \} について一般項がわかれば
f_n(x)x,n の式で表記できることになるでしょう。

\begin{align}
a_n=2a_{n-1}+7b_{n-1} \tag{1}\\
b_n=a_{n-1}+8b_{n-1} \tag{2}
\end{align}
とおいて式(1)-(2)より
\begin{align}
a_n-b_n=a_{n-1}-b_{n-1}\\
\end{align}
となり,a_1-b_1=(2x+7)-(x+8)=x-1 ですから

a_n-b_n=x-1 \tag{3}
を得ます。
式(3)を用いて式(1)を変形すると
\begin{align}
a_n &=2a_{n-1}+7b_{n-1}\\
b_n+x-1 &=2a_{n-1}-2b_{n-1}+9b_{n-1}\\
b_n+x-1 &=2(x-1)+9b_{n-1}\\
b_n &=9b_{n-1}+(x-1) \tag{4}
\end{align}
となります。
ここから b_n-\alpha =9(b_{n-1}-\alpha) と変形したいので
これを整理した b_n=9b_{n-1}-8\alpha と式(4)を比較すると
\alpha =\displaystyle\frac{1}{8}(1-x) とわかります。
すなわち式(4)は b_n -\displaystyle\frac{1}{8}(1-x) = 9(b_{n-1} -\displaystyle\frac{1}{8}(1-x)) と変形できます。

b_1=x+8 ですから,n \geqq 2 のとき
\begin{align}
b_n-\frac{1}{8}(1-x)=(x+8-\frac{1}{8}(1-x)) \cdot 9^{n-1}\\
b_n=\left(\frac{9}{8}x+\frac{63}{8} \right) \cdot 9^{n-1}+\frac{1}{8}(1-x)\\
b_n=\frac{1}{8} \{(9x+63) \cdot 9^{n-1}+(1-x)\}
\end{align}
となります。また n=1 のときは
\displaystyle\frac{1}{8}(9x+63) \cdot 9^{1-1}+(1-x) = x+8 = b_1
となり b_1 に一致しますから,n \geqq 1 である n 全体で
b_n=\displaystyle\frac{1}{8} \{(9x+63) \cdot 9^{n-1}+(1-x)\} \tag{5}
となることがいえます。

以上と同様にして,{a_n} について
a_n=\displaystyle\frac{1}{8} \{(9x+63) \cdot 9^{n-1}+7(x-1)\} \tag{6}
となります。

最終的に式(5),(6)を組み合わせて
\begin{align}
f_n(x)=\frac{a_n}{b_n} &=\frac{\displaystyle\frac{1}{8} \{(9x+63) \cdot 9^{n-1}+7(x-1)\}}{\displaystyle\frac{1}{8} \{(9x+63) \cdot 9^{n-1}+(1-x)\}}\\
&=\frac{(9x+63) \cdot 9^{n-1}+7(x-1)}{(9x+63) \cdot 9^{n-1}+(1-x)}
\end{align}
というわけで,f_n(x)xn の式で表すことができました。

 

分子と分母を分けて考えることで,数列の問題に帰着させて解くことができました。

 


出題者である友人のブログです。
この問題に至った背景があります。

aryuaryuaryuryu.hatenablog.com