ぬうがくブログ

数学っぽいことを気になったときに気になったように書き綴ります。たまに別の趣味と混ざります。

組み合わせ

本記事は,先にこちらの記事『順列』を読んでおくとより理解しやすいと思います。
ぜひ読んでください。

 

shibiremath.hatenablog.com

 

 


 

 

組み合わせ

  n 個のものの中から  r 個を順番を考慮せずに選んだものを組み合わせと言います。

 

順列との大きな違いは,順番を考慮しないことです。
さっそく例題を考えてみましょう。

 

例題1

4つの商品A,B,C,Dがそれぞれ1つずつあります。この中から2つの商品を選んで買うとすると,何通りの買い方がありますか。ただし,商品は必ずちょうど2つ選ぶものとします。

 

この場合は n=4 r=2 の例です。

 

例題1の解答

  \{\mathrm{A},\mathrm{B}\} \{\mathrm{A},\mathrm{C}\} \{\mathrm{A},\mathrm{D}\} \{\mathrm{B},\mathrm{C}\} \{\mathrm{B},\mathrm{D}\} \{\mathrm{C},\mathrm{D}\} の6通りです。

 

この問題で注意しなければならないのは,たとえば
 \{\mathrm{A},\mathrm{B}\} \{\mathrm{B},\mathrm{A}\} は同じものとして扱うところです。
「AとBを買います」という宣言と
「BとAを買います」という宣言は
同じであるとみなすわけです。
では,次の場合はどうでしょうか。

 

例題2

4つの商品A,B,C,Dがそれぞれ1つずつあります。この中から3つの商品を選んで買うとすると,何通りの買い方がありますか。ただし,商品は必ずちょうど3つ選ぶものとします。

 

先ほどの例題1から,数字を一か所だけ変えてみました。
お手元に紙など用意して考えてみてください。

 

 

 

 

 

 

例題2の解答

 \{\mathrm{A},\mathrm{B},\mathrm{C}\} \{\mathrm{A},\mathrm{B},\mathrm{D}\} \{\mathrm{A},\mathrm{C},\mathrm{D}\} \{\mathrm{B},\mathrm{C},\mathrm{D}\} の4通りです。

 

組み合わせの問題は,順列の問題と比較して考えると良いです。
たとえば今の例題2では4個のものから3個を選ぶ組み合わせでしたが
4個のものから3個を並べて作る順列と比較してみましょう。

4個の文字A,B,C,Dから3個を選んで作ることのできる文字列(順列)は
次の24通りです。

(A,B,C) (A,B,D) (A,C,D) (B,C,D)
(A,C,B) (A,D,B) (A,D,C) (B,D,C)
(B,A,C) (B,A,D) (C,A,D) (C,B,D)
(B,C,A) (B,D,A) (C,D,A) (C,D,B)
(C,A,B) (D,A,B) (D,A,C) (D,B,C)
(C,B,A) (D,B,A) (D,C,A) (D,C,B)

 

順列のページでも似たような表を用意しましたが
こちらは順番を変えてあります。
この表を見て,何かに気づきますでしょうか。

 

 

 

この表は,次のように列ごとに着目してみてください。

A,B,Cで
作れる順列
A,B,Dで
作れる順列
A,C,Dで
作れる順列
B,C,Dで
作れる順列
(A,B,C) (A,B,D) (A,C,D) (B,C,D)
(A,C,B) (A,D,B) (A,D,C) (B,D,C)
(B,A,C) (B,A,D) (C,A,D) (C,B,D)
(B,C,A) (B,D,A) (C,D,A) (C,D,B)
(C,A,B) (D,A,B) (D,A,C) (D,B,C)
(C,B,A) (D,B,A) (D,C,A) (D,C,B)

 

同じ文字の組み合わせで構成される順列が
同じ列に並ぶように配置しています。
この同じ列に並ぶ6通りの順列,たとえば
(A,B,C),(A,C,B),(B,A,C),(B,C,A),(C,A,B),(C,B,A) について
これらは"組み合わせ"の視点で見れば
全て同じとみなすのでした。
そうすると,1つの組み合わせに対して
同じものとみなす並びが6通りずつあるわけですから
4個のものから3個を選ぶ組み合わせの総数は
{}_4 \mathrm{P}_3 \div 6 = 24 \div 6 = 4(通り)
と求められます。

さらにいえば,この 24 \div 6 = 46という数は
異なる3つのものを並べる順列の総数に他なりませんから
{}_4 \mathrm{P}_3 \div 3! = 4
とも表すことができます。

このような計算は,記号 {}_n \mathrm{C}_r を使って表記できます。

記号  {}_n \mathrm{C}_r

整数  n r について  n \geqq r \geqq 0 とします。記号  {}_n \mathrm{C}_r を次のように定義します。

{}_n \mathrm{C}_r = \displaystyle\frac{{}_n \mathrm{P}_r}{r!} = \displaystyle\frac{n \times (n-1) \times \cdots \times (n-r+1)}{r \times (r-1) \times \cdots 1}

ただし,  {}_n \mathrm{P}_0 = 10! = 1 とします。

一般に, {}_n \mathrm{C}_rn 個の異なるものから r 個を選ぶ組み合わせの総数に等しくなります。

 

文字ではわかりにくいかもしれないので例を挙げましょう。

{}_4 \mathrm{C}_3 = \displaystyle\frac{4 \times 3 \times 2}{3 \times 2 \times 1} = 4

{}_{10} \mathrm{C}_4 = \displaystyle\frac{10 \times 9 \times 8 \times 7}{4 \times 3 \times 2 \times 1} = 210

{}_5 \mathrm{C}_5 = \displaystyle\frac{5!}{5!} = 1

 

同じにみなせるものが N 個ずつあるので
順列の総数を N で割るというのは大事な考え方です。


補足

例題2について,4個のものから3個を選ぶことは
残す1個を選ぶことと同じなので4通りであると考えることができます。