ぬうがくブログ

数学っぽいことを気になったときに気になったように書き綴ります。たまに別の趣味と混ざります。

突然の問題1 (整数の問題?)

先日友人と話していたら、突然出題されたので解きました。

突然の問題1

7 で割ると 2 余り,5 で割ると 1 余り,3 で割ると 2 余るような正の整数で最小のものを求めてください。

 

よかった。友人のことなので突然難しい問題を出してくるかもと思いましたが
どうやらそんなに難しい問題ではなさそうです。
むしろよく見かけるタイプの問題です。

皆さんも考えてみましょう。特別難しい数学の知識は必要ありませんよ。

 

解答1

3つの条件を満たす数をいきなり見つけるのはやや難しいので
条件のうち2つを満たすものを考えてみます。

たとえば「7 で割ると 2 余る」かつ「5 で割ると 1 余る」正の整数で
最も小さいものは 16 であることはすぐにわかります。
しかし 163 で割った余りは 1 なので,これは解答にはなりません。
そこで条件を満たす数をもっと探してみます。

7 で割って 2 余る数を 162330\cdots と続けて探していくと
51 が次なる 5 で割って 1 あまる数とわかります。
しかしこれは 3 で割り切れてしまうため,51 も正しい解答ではありません。

1651 ときたので次はまた 35 だけ増えて 86 かな?と予想しつつ
同様に進めていくと,次の「7 で割ると 2 余る」かつ「5 で割ると 1 余る」整数は
確かに 86 で,しかも 863 で割った余りは 2 です。

よって,答えは 86 です。

 

このように,問題の規模がさほど大きくない場合は
小さい数から順に考えていって答えを探すのは,十分通用します。
問題の規模が多少大きくても,このような考え方は
答えを予想したり,法則を見破ったりできるので大事な考え方です。

次は,数式を使った考え方で解いてみます。

 

解答2

求めるべき整数を N とおくと,問題の条件から N は整数 stu を用いて

N=7s+2=5t+1=3u+23 通りに表すことができます。
この式の 7s+2=5t+1 に注目し,整理して

5t-7s=1 \tag{1}

とします。
式(1)を満たす整数 (s,t) の組の一つとして (s,t)=(2,3) が考えられます。
s=2,t=3 を式(1)に代入して,次の式

5 \cdot 3 - 7 \cdot 2 = 1 \tag{2}

を得ます。
式(1)-式(2) より

\begin{align}
5t - 7s &= 1\\
-) 5 \cdot 3 - 7 \cdot 2 &= 1\\
\frac{          }{} & \frac{  }{}\\
5(t-3)-7(s-2) &= 0\\
5(t-3) &= 7(s-2)
\end{align}

57 は互いに素なので,整数 k を用いて

\begin{align}
t-3=7k\\
s-2=5k
\end{align}

とおけます。つまり st

\begin{align}
t=7k+3\\
s=5k+2
\end{align}

と表記できます。

N=7s+2s=5k+2 を代入
または N=5t+1t=7k+3 を代入することで, N=35k+16 を得ます。N=3u+2 でもありましたから 35k+16=3u+2 について解けばよいです。
ただし N すなわち 35k+16 は正の整数であることに注意すれば k \geqq 0 ですから

k=0,1,2\cdots を順に当てはめていきます。
k=0 のとき,16=3u+2 より u=\displaystyle\frac{14}{3}u が整数でないので不適。

k=1 のとき,51=3u+2 より u=\displaystyle\frac{49}{3}u が整数でないので不適。

k=2 のとき,86=3u+2 より u=\displaystyle\frac{84}{3}=28u が整数なので適する。

以上から求めるべき整数は 86 です。

 

問題によっては数式を使ったほうがかえって長々しくなってややこしい気がします。
しかし解答1と解答2で言っていることは本質的に同じです。

うーんと考えてわかるならそのままで
数式を使ったほうが良いなら数式で
他の考え方ができるなら他の考え方で
自分のやりやすい方法で考えるのが良いでしょう。

 


余談

連立方程式の加減法みたいな式ってどうやったら入力できるんでしょう。


この問題を出してくれた友人が返歌ならぬ返ブログを書いてくれました。
そんなに難しい話になるとは思わなかったぞ!

aryuaryuaryuryu.hatenablog.com